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上高地節気

秋分 僕だけ興味津々~野紺菊~

こんにちは、さくらです。

秋分です。

秋本番です。

キクの季節です。

 

というわけで今回は、こいつに興味津々!です!

野紺菊

ノコンギク(野紺菊)。

私が勝手に認定する、上高地・三大秋の花のひとつです。

※ちなみにあとの2つは、サラシナショウマ(晒菜升麻)と

ゴマナ(胡麻菜)です。

 

いかにも「お花!」という感じの形をしていますが、

じつはキク科の花の構造は、ちょいとばかり複雑なのです。

 

先々月のこのコーナーでも少し触れましたが、

「花」というのは、「めしべ」「おしべ」「花びら」「萼」の

ひと揃いが、基本単位です。

(それぞれ数は色々ですし、中にはどれかが欠けている

ものもありますが。)

 

で、ノコンギクはどうなっているかと言いますと。

ノコンギクの「花」 

まわりの薄紫色の部分が花びらで、

真ん中の黄色い部分から飛び出ている棒状のものが、

おしべとめしべ。

…に、見えるのですが。

…というか、それはまぁ正しいのですが。

それだけでは説明しきれていません。

 

よ~~~~く、見てください。

拡大

注目するポイントは、おしべとめしべの根元の部分です。

 

さらに拡大

これこれ!この赤丸で囲んだ部分。

黄色いお花の形…わかりますか?

 

実はノコンギクの「花」に見える部分はひとつの花ではなく、

たくさんの花の集合体なのです。

 

花いっぱい

これもこれもこれもこれもこれも…。

矢印で示したひとつひとつが、お花です。

 

で、ひとつひとつの花を「小花(しょうか)」、

小花が集まって花のように見える部分を

「頭花(とうか)」と呼びます。

 

※花の集まりを「花序(かじょ)」といい、

キクのように平面的な花序を「頭状花序(とうじょうかじょ)」と

いいます。

 

そして。

上の矢印いっぱいの写真を見ていただくとわかりますが、

ノコンギクの小花には、紫色と黄色の2種類があります。

 

花びらが平たい、紫色の小花が舌状花(ぜつじょうか)。

花びらが筒状の、黄色の小花が筒状花(とうじょうか)。

 

総苞

黄色の筒状花のまわりを紫色の舌状花がぐるりと取り囲み、

それを、総苞(矢印の部分。葉っぱが変化したもの)が

包んでまとめている-というのが、ノコンギクの頭花の構造です。

 

※総苞は萼に似ていますが、萼ではありません。

萼は小花のひとつひとつにつくもの、

総苞は頭花ひとつにつくものです。

なお、じつは小花にも萼はなく、

代わりに「冠毛(かんもう)」という毛が生えています。

 

…はい、というわけで長かった用語説明が終わりましたー。

ここからが今回の本題!

 

たくさんの花が集まっているノコンギク、

その咲き始めから咲き終わりまでを、

写真でじっくり追ってみたいと思います!

 

まずは、つぼみの時期。

舌状花つぼみ

舌状花のひとつひとつがまだ開いておらず、

くるりと筒状に巻いています。

それがだんだん…。

 

舌状花開花、筒状花つぼみ

開いてきます。

左側の2輪を残して、舌状花が開花したところ。

この時点では、まだ中央の筒状花はつぼみです。

ちなみに…。

 

舌状花のめしべ

矢印で示した黄色いこれが、舌状花のめしべです。

小花ごとにめしべがついているのがわかるでしょうか?

ちなみにノコンギクの舌状花は、全て雌花なので

おしべはありません。

 

筒状花咲きかけ

そして、筒状花が外側から開花していきます。

この写真では、中央部に筒状花のつぼみが残っています。

舌状花は雌花ですが、

筒状花はおしべとめしべの両方を備えた「両性花」です。

 

ちょっと脱線しますが…。

この両性花のおしべとめしべ、独特の構造をしています。

キク科のおしべとめしべ 

①5本のおしべの葯(やく。花粉が入っているところ)が

くっつき合って筒状になっており、

その筒の中にめしべが入っています。

②(断面図)花粉は葯から、筒の内側に向かって出てきて…

③伸びてきためしべに押し出されるようにして、外に出ます。

④花粉がだいたい虫に運ばれていったところで、

めしべの先っぽが開いて…

「柱頭」と呼ばれる、花粉を受けとるための場所が出てきます。

 

なぜこんなまだるっこしいことをしているかと言うと、

③の時は花粉を出す時期、

④の時は花粉を受け取る時期、

という風にして時間差を作ることで、

自分の花粉を自分で受け取らないようにしているのです。

 

自分の花粉で受粉してしまうと、

遺伝的に弱い種ができてしまう可能性が高くなるんだそうで。

(これについては長くなるので割愛。またの機会に)

 

実際の写真で見てみると

花粉にょきにょき

これが、花粉が押し出されて出てきたところ。

図の③にあた ります。

 

柱頭あらわる

そしてこれが、めしべの先が開いて柱頭が出てきたところ。

図の④にあたります。

 

ノコンギク以外でも、キクの仲間には同じ構造のものが

非常に多いのですので、

ぜひ手近なキクで見てみてください。

 

さて、筒状花の花期も後半に入ってくると…

筒状花満開

初期に比べて、中心部がだいぶにぎやかになってきます。

 

筒状花満開2

そして、色が変わってくる頃になると…

 

冠毛伸びてきた

最初に咲いた外側の花から、毛が伸びてきます。

小花の萼の位置についている、「冠毛」です。

この毛が何の役に立つのかはまた後ほど…。

 

さらに時間が経つと、舌状花・筒状花ともに

役目を終えた部分(主に花びら)が散り、

どんどんシンプルになっていきます。

花冠落ちかけ

 

地面を見ると…。

落ちた舌状花

舌状花の花びらが落ちていました。

めしべの柱頭も一緒にくっついています。

 

そして花びらが全部落ちる頃には、冠毛がさらに伸びて

もこもこ

こんな感じになります。

余談ですが、これくらいの時期に冠毛を撫でると

非常にやわらかい素敵な手触りです。

 

そこからさらに時間が経って、実が完全に熟すと…。

ノコンギク実

丸くなります。

(今年はまだ熟していないので、去年の写真です)

そう、さきほどの冠毛は、風に乗るための綿毛になるんです。

 

ノコンギク実拡大

これがノコンギクの実。

ひとつの小花が、ひとつの実になりますので

頭花が変化してできる綿毛のボールには、

花の数だけ、たくさんの実がくっついています。

※実に関しては、去年の興味津々をご覧下さい。

 

…これにて今年のノコンギクのお仕事は終了。

あとは風で飛んで行った実が冬を越し、

また来年、新しい芽を出し、そしてまた花を咲かせます。

 

…そして、非常に長かった今回の興味津々のコーナーも

いよいよ終わりが見えてきました。

ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございました。

 

ただ「花が咲く」というそれだけのことも、細かく見ると

こんなにたくさんの手順やしくみや工夫が見えてきます。

 

どの花も、こんなことを毎年毎年一年も欠かさず

何百回も何千回も何万回も繰り返して、

今年も律義に花を咲かせてくれている…。

そう気付くと、いつも見ている花たちが

なんだか果てしなく思えてきます。

 

皆様も、身近な花の営みを

追ってみてはいかがでしょうか?

 

さくら

|2011年09月23日 08:25

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コメント

ちょうど1年前にガイドして頂きました。その時の印象にあるのはやはり野紺菊や山母子などです。
野紺菊は花びら(舌状花) の色が、薄紫から白色に近いものまで、場所によって多少違っていて、あちこち見比べて、面白かったです。
解説を聞くと、ひとつひとつの植物にちゃんと理由があって形ができていて、見過ごせない物ばかりですね。

がきのすけ | 2011年09月26日 21:13

がきのすけ様

コメントありがとうございます。
そうなんです!野紺菊はよく見ると色のバリエーションが豊富なんですよね。
ちなみに私は、青が濃いものがお気に入りです。
遠くから眺めても細かく見ても楽しめるのは、お花の素敵なところですね。

さくら | 2011年09月27日 10:51

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